みなさんは「昨夜遅くに寝たのに、目覚めがさわやか!」だったり、「休日十分に睡眠時間を取ったにも関わらず寝起きが悪く、疲れも取れない、、」などの経験がありませんか?
『睡眠時間が長いのに、まだ眠り足りない』という方は眠りが浅いのかもしれません。
快適な生活を送るための睡眠は時間の長さではなく、「眠りの質」が大切になります。
良質な睡眠は次の日のパフォーマンスの向上につながります。
今回は、『睡眠時間の基礎知識や、睡眠時間が長い原因』『理想の睡眠時間と快適な眠りを取り入れるポイント:睡眠のゴールデンタイム』『長い睡眠時間にまつわる雑学』などをお伝えします。
専門機関の研究報告から人に話したくなる情報まで、盛りだくさんの内容をお楽しみに!
そもそも睡眠時間とは?
睡眠時間の確保は、体と脳の疲労を取り健康な生活を送る上で必要不可欠です。
日本人の平均的な睡眠時間は6~8時間と言われていますが、多忙な生活を送る人はさらに少なく、寝足りないと自覚する人が多いようです。
しかし、睡眠時間は長ければよい訳ではなく、質の良い睡眠を取ることが理想と言えます。
一番深い眠りである入眠後3時間くらいには「成長ホルモン」が分泌され、免疫力の強化や体内の新陳代謝、記憶力を高めるなど様々な働きをします。
レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)の関係図
図でもわかるように眠りが浅い「レム睡眠」の時に起きれば、スッキリした目覚めになります。
「レム睡眠」以外で起きてしまうと、頭がぼーっとして眠気が残ってしまいます。
睡眠時間が長い人は「ロングスリーパー」
睡眠時間が9時間より長く眠る人を「ロングスリーパー」、「長眠者(ちょうみんしゃ)」と呼びます。睡眠の長さに関して気になる情報を集めました。
睡眠時間と寿命
少々怖い話ですが、生活習慣病の予防の研究機関によると、10時間以上の睡眠を取る人は死亡のリスクが高まると説明しています。
反対に、睡眠時間が短い人にも同様の結果が出ています。アメリカでも似たような調査が行われています。
病的な要素も考えられますが、原因はまだはっきりとわかっていません。生物学上のメカニズムの解明など、今後の研究が待たれます。
基礎体温と睡眠
基礎体温とは、女性が体のリズムを知るために、起床前に安静な状態で計測する体温のことです。
睡眠不足の場合は基礎体温が低くなるため、最低でも4~5時間くらい寝た後に測ることが基本です。
反対に、長い睡眠時間を取った後は高くなる傾向があります。正しい基礎体温を測るためにも、規則正しい生活を心がけましょう。
休日の睡眠
休日はどうしても寝坊をしがちですが、極端に睡眠時間が長いと生活のリズムが崩れ、休み明けが辛くなってしまいます。
俗に言う「寝だめ」は2時間まで(できれば自分のレム睡眠の周期:90分くらい)にしておきましょう。
いつもどおりに起床し、午後の早めの時間に昼寝をする方法をおすすめします。
寝てもまだ眠い!睡眠時間が長い原因は?
誰でも、疲れが取れずに寝ても寝足りないことがありますね。
しかし、眠気は体が出す不調のサインという場合もあります。1つずつ見ていきましょう。
- 精神的な疲労
ストレスを感じると、ノルアドレナリンやドーパミンなどの物質が増えて脳が興奮し、浅い睡眠であるレム睡眠が増えます。しっかり熟睡していないため脳が休めず、眠りが足りないと感じます。脳の疲労が睡眠時間を決めるという研究報告もあります。 - 生活習慣
内臓疲労から来るだるさが原因で、寝足りないと感じることもあります。不規則でカロリーの高い食事、お酒は内臓に負担がかかります。食べる時間や量、メニューを見直してみましょう。また、炭水化物の取りすぎで血糖値が上昇し、疲労感が出ることもあります。反対に、血糖値が低すぎると眠気や集中力の低下などの症状が出ます。 - 病気によるもの
次の項目で詳しく説明しますが、昼間に強い眠気を催す時は病気が隠れていることもあります。過眠症や無呼吸症候群、甲状腺などの病気が挙げられます。自覚症状がある場合はきちんと検査を受けましょう。 - ホルモンバランス
女性の体内はホルモンが周期的に変化しており、月経前は眠気を訴える人が多くいます。月経の前や妊娠中は、黄体ホルモンであるプロゲステロンが増えて体温が上昇し、寝つきが悪くなって睡眠の質が落ちます。そのため、常に眠気を感じるという悪循環に陥ります。プロゲステロンが分解されると、アロプロゲステロンという催眠の効果がある物質になることもわかっています。また、更年期はホルモンバランスの乱れからメラトニンの生成が減り、不眠に陥って昼間に眠気を催します。 - 遺伝の影響
ロングスリーパーと呼ばれる人は、遺伝の可能性があります。「時計遺伝子」と呼ばれる体内のリズムを司る遺伝子が、睡眠にも関係しています。親の生活習慣や時間の使い方なども関連していると言えるでしょう。過眠症も、遺伝の影響があることがわかっています。
「睡眠時間が長い人」に考えられる病気
睡眠時間が極端に長い場合や、昼間にも眠気を催す時は、病気の可能性もあります。一部を紹介しますが、症状はこの限りではありません。
自覚症状がある場合は、一度医療機関を受診してみましょう。
突発性過眠症
20歳代の発症が多く、昼間に強烈な眠気がある病気です。寝ても寝足りない日が多く、10時間以上眠るケースもあり、目覚めが悪いことも特徴です。
頭痛やめまい、立ちくらみを伴うことがあります。
ナルコレプシー
突発性過眠症と似ていますが、日中の眠気に加えて、情動性脱力発作や金縛り、入眠時の幻覚を伴うのが特徴です。
10代で発症するケースが多く、原因は特定されていません。日本人に多く、発症率は600人に1人という報告があります。
反復性過眠症状
1日に16~20時間も寝てしまう過眠期が年に数回起こり、10日ほど続きます。非常に少ない病気ですが、10代で発症することが多いと言われます。
嗜好の変化や、衝動的な行動が見られることもあります。
非定型うつ病
通常、うつ病は気分の落ち込みや意欲の低下、体調不良が続き、寝付けないことが多い病気です。
しかし、過眠を伴う場合は非定型うつ病に分類されます。20~30代の女性に多く、過食になり体重が増える傾向も見られます。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に10秒以上の無呼吸の状態がある病気です。7時間の睡眠で30回以上、または1時間に5回以上症状が出る場合が当てはまります。
しっかり眠ったと言う自覚がないため、昼間にも眠気を催します。40~60歳代の男性に多く発症します。
甲状腺機能低下症
眠気やだるさ、無気力、肌の乾燥などの症状が現れます。内臓や細胞の働きを促す甲状腺ホルモンの不足が原因で起こります。
40歳以上の女性に多く、10~20人に1人の率で発症します。体調不良と思いこんで受診をしないケースもあります。
理想的な睡眠時間とは?赤ちゃんから高齢者まで!
一般的に言われている理想の睡眠時間をまとめました。個人差があるため、必ずしもこの数字にはあてはまりませんので安心してくださいね。
・新生児・・・約16~18時間、生後6ヶ月~12ヶ月・・・約11~13時間
・園児や小学生・・・約8時間
・中学生や高校生・・・約7~8時間
・成人・・・約6時間~7時間半
・65歳以上・・・約6時間
朝の目覚めが良く、日中に眠気がなければ良質の睡眠を取れていると言えます。
良質の眠りを得るためには?
快適な生活を送るには、まず良質の睡眠が必要です。心地よく眠るためのポイントを紹介しましょう。
朝の光を浴びる
眠りを誘うホルモンの「メラトニン」を分泌するには、「セロトニン」という物質が必要になります。
朝日を浴びると、セロトニンが体内で生成されることがわかっています。毎朝、10分ほど朝日を浴びる習慣をつけてみましょう。
14~16時間後くらいに眠気を催すように調節されます。
食事の量を控える
内臓に負担をかけないようにするのも快眠のポイントです。満腹で眠ると、体内は消化作業をしているために深い睡眠に入れません。
さらに脂肪の分解がされにくくなるため、肥満の原因にもなります。寝る数時間前に食事を済ませ、量は8分目を心がけましょう。
入浴やストレッチ
心地よい睡眠を得るには、眠る2~3時間以上前にゆっくり湯船につかって疲れを取りましょう。
シャワーだけでは快適な眠りが得られないという報告もあります。
また、布団の上で軽くストレッチをするとリラックス効果が高まり、眠りの準備に入れます。ただし、眠る直前の暑いお風呂や、激しい運動は逆効果になるので気をつけましょう。
寝る前のパソコンやスマホを止める
毎日の生活にパソコンやスマホは欠かせないツールになりました。
しかし、これらの機器から発せられる光は、脳に強い刺激を与えて興奮させてしまいます。
眠る直前には操作をやめ、読書や音楽を聴くなどゆったり過ごして眠る準備をしましょう。
理想の睡眠の新常識「ゴールデンタイム」とは
ためしてガッテンの睡眠特集を見てたら、睡眠の新常識「ゴールデンタイム」が登場してきました。
睡眠の研究家「白川修一郎」さんは「90分サイクルで起きればいいというのは”都市伝説”」と発言。
電車でウトウトしているような半分寝ているような瞬間を「睡眠のゴールデンタイム」と言い、
「寝返りを打つ時など、半分起きて居るような状態」の時に起きるとすっきりとした目覚めが出来るようです。
ポイントは「小さな音」が眠りの中から聞こえてくる瞬間。
理想の目覚めをまとめると、
1、朝の光を浴びる
2、食事の量を控える
3、入浴やストレッチ
4、寝る前のパソコンやスマホを止める
5、朝に太陽の明るさが室内に入り込み、小鳥のさえずりが遠くから聞こえてきた時に起きるようにする
でも、小鳥が目的の時間にさえずるのはかなり難しいので、
スタンフォード大学・睡眠生体リズム研究所の西野精治さんが考案した起床法をご紹介します。
この方法でアラームをセットすることで、スッキリ起きられる確率がアップします。また、目覚まし時計だけでなく、スマートフォンや携帯電話のアラーム機能でも行うことができます。
1、起きたい時刻の20分前に小音量のアラームをセットする。
2、音量の目安は、耳をすませば聞こえるぐらい。※寝坊することを避けるため、念のため通常のアラームもセットしておいてください。
長い睡眠時間にまつわる雑学!
最後に、睡眠時間にまつわる興味深い話を集めたのでご覧ください。
長い睡眠時間の人は天才に多い?
偉業を成し遂げた人は、睡眠時間が長いようです。
理論物理学者のアインシュタイン、ニュートリノの観測でノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊さん、プロゴルファーのタイガー・ウッズや、野球のイチロー選手も睡眠が長めという情報があります。
10代の脳は眠い
オーストラリアの大学で、10代の体内時計は夜向きという研究結果が発表されました。
睡眠を誘う物質「メラトニン」の分泌される時間帯が遅いことが関連しています。
また、10代の脳はまだ発育段階で、「大脳辺縁系」と「前頭前皮質」の発達に差があることがわかっています。無防備で刺激を受けやすいため、とても疲れるという説もあります。
女性は男性より眠りが長め?
女性は男性より睡眠時間が長いという研究報告がイギリスの大学で行われました。
女性の脳は男性よりも複雑で、複数の内容を処理するなど脳を酷使するため、疲労回復に時間がかかるという説です。
男性よりも平均で20分ほど多く睡眠が必要と説明されています。
睡眠時間が長い国や都道府県
睡眠時間が長い国はフランスで、子供の睡眠時間の長さではニュージーランドが1位と言われています。
総務省統計局の調査では、日本国内で1番睡眠時間が長いのは秋田県という結果が出ています。
コアラの睡眠時間
動物の中では、コアラが1位で22時間くらいと言われます。
主食のユーカリを消化・解毒するためにエネルギーを使うという説、ユーカリの葉から発生するエタノールが神経を麻痺させているという説があります。
おわりに
いかがでしたか?
今回は、『睡眠時間の基礎知識や、睡眠時間が長い原因』『理想の睡眠時間と快適な眠りを取り入れるポイント:睡眠のゴールデンタイム』『長い睡眠時間にまつわる雑学』など幅広い情報をお伝えしました。
たくさん眠る方が体に合う人もいれば、満足な睡眠が得られずにうとうとしてしまう人もいます。
良質の睡眠を取るためにも、紹介した内容を実践してみてくださいね。睡眠は健康的な生活を送るための大切なポイントです。
この機会に、理想の睡眠を得るためにまずは食事の内容、食事の時間、スマホやパソコン・ゲームの時間、バスタイムなど生活習慣をもう一度振り返り見直してみましょう。
それでも眠りが浅い、眠った気がしない、疲れが取れないなどの場合は、一度医療機関を受診してみましょう。